撮影はポジションとアングルが重要?
こんにちはFIPLM(フィペルム)のYODOです。
この記事では、写真や動画撮影の基礎となる「カメラのポジション」と「カメラアングル」について、その種類からそれぞれの効果など、分かりやすく解説していきます。
写真撮影において、「何を撮るか」はもちろん重要ですが、「どう撮るか」はそれ以上に写真の印象を大きく左右します。
同じ被写体でも、カメラの位置や角度を少し変えるだけで、可愛らしさ、力強さ、奥行き、臨場感など、全く異なる表現が可能になります。
カメラの「ポジション」と「アングル」の定義
まず、多くの人が混同しがちな「ポジション」と「アングル」の違いを明確にしておきましょう。
- カメラポジション(位置): カメラを構える高さのこと。被写体との相対的な位置関係を指します。
- カメラアングル(角度): カメラレンズの向きのこと。上を向けるか、下を向けるか、水平に向けるかを指します。
この2つは密接に関係しており、組み合わせることで表現の幅がグーンと広がります。
カメラポジションの種類と効果

カメラポジションは主に以下の3つに分けられます。
ハイポジション(高い位置)
被写体よりも高い位置からカメラを構えるポジションです。
- 主な効果:
- 広がりや全体像の表現: 風景や街並みなど、広大な景色を俯瞰(ふかん)で捉えることができます。
- 被写体の可愛らしさや無力感: 人物を撮影する際、上から見下ろすように撮ることで、子どもや小動物の可愛らしさを強調できます。
- 背景の整理: 地面や床が背景になるため、ごちゃごちゃした背景を避け、被写体に集中させることができます。
- 活用シーン:
- 景色撮影: 高台や展望台から街並みを撮る際、街のスケール感を表現できます。
- 人物撮影: 子どもやペット、あるいは被写体の華奢さを表現したい時に有効です。
アイレベルポジション(目線の高さ)
被写体の目線の高さに合わせてカメラを構えるポジションです。
- 主な効果:
- 安心感と安定性: 私たちが普段見慣れている視点であるため、見る人に安心感を与え、自然な印象の写真になります。
- 被写体への共感: 人物を撮る場合、被写体と同じ目線で撮ることで、親近感や共感を表現できます。
- 活用シーン:
- ポートレート: 自然な表情や仕草を切り取りたい時に最適です。
- ドキュメンタリー: ありのままの日常や出来事を記録する際に使われます。
- 記念撮影: 集合写真や記念写真の基本的なポジションです。
ローポジション(低い位置)
被写体よりも低い位置からカメラを構えるポジションです。
- 主な効果:
- 迫力と威厳: 見上げるように撮ることで、被写体の大きさや力強さを強調できます。建物や乗り物をダイナミックに表現するのに適しています。
- 被写体の高さを強調: 人物を撮る際、脚が長く、スタイルが良く見える効果があります。
- 非日常感: 普段見ることのない視点からの撮影は、見る人に新鮮な驚きを与えます。
- 活用シーン:
- 建物や乗り物: 高層ビルやタワー、バイクや車などを迫力ある写真に仕上げたい時に使われます。
- 人物撮影: ファッションポートレートでスタイルを良く見せたい時や、力強さを表現したい時に有効です。
- 花や植物: 地面すれすれから撮ることで、植物の生命力を感じさせる写真になります。
3. カメラアングルの種類と効果

カメラアングルは主に以下の3つに分けられます。
ハイアングル(見下ろし)
カメラレンズを被写体より下に傾けて、見下ろすように撮影するアングルです。
- 主な効果:
- 俯瞰: 上から見下ろす客観的な視点を提供します。
- 被写体を小さく見せる: 小ささや可愛らしさを強調できます。
- 背景の整理: 地面や床が背景になるため、背景がごちゃつくのを防ぐ効果もあります。
- 活用シーン:
- 料理や小物: テーブルに並べた料理や、おしゃれな小物を真上から撮る「真俯瞰」は定番の構図です。
- 人物: 小ささやあどけなさを表現したい時や、表情にフォーカスしたい時に使われます。
アイアングル(水平)
カメラレンズを被写体と水平に構えるアングルです。
- 主な効果:
- 客観性: 人間の目線と同じであるため、最も客観的で自然な印象を与えます。
- 安定感: 写真全体に安定した印象をもたらします。
- 活用シーン:
- ドキュメンタリー: 事実をありのままに伝えたい時に使われます。
- 人物: 自然なポートレートを撮る際の基本です。
ローアングル(見上げ)
カメラレンズを被写体より上に傾けて、見上げるように撮影するアングルです。
- 主な効果:
- 威圧感と力強さ: 被写体を大きく、力強く見せる効果があります。
- 高さを強調: 建物や人物の高さを強調し、迫力を生み出します。
- 空を背景にする: 屋外での撮影では、ごちゃついた背景を避け、空を背景にすることで開放感を表現できます。
- 活用シーン:
- 建物や乗り物: 高層ビルやタワー、車などをダイナミックに撮りたい時に使われます。
- 人物: 威厳や力強さを表現したい時や、脚長効果を狙いたい時に有効です。
4. ポジションとアングルの組み合わせで表現力を高める

ポジションとアングルは、単独ではなく組み合わせて使うことで、より豊かな表現が可能になります。
ハイポジション + ハイアングル
- 効果: 最も上から見下ろす視点。対象を小さく見せ、広がりを強調します。
- 活用例: 高いビルから街並みを撮影する、ドローンで景色を俯瞰する。
ハイポジション + ローアングル
- 効果: 高い位置から下を見下ろしながら、カメラは上向きに構える特殊な構図。写真に緊張感や奇妙な感覚を生み出します。
- 活用例: 螺旋階段の上から、下へと続く階段を撮る。
ローポジション + ローアングル
- 効果: 最も下から見上げる視点。被写体の迫力を最大限に引き出し、非日常的な写真になります。
- 活用例: 地面すれすれから猫を撮影する、高層ビルを下から見上げる。
ローポジション + ハイアングル
- 効果: 低い位置から被写体を見下ろす視点。
- 活用例: 地面に寝転がり、手前の花を見下ろして撮る。地面の反射を活かした幻想的な写真にも。
5. 被写体別のポジション・アングル活用術
ここからは、具体的な被写体ごとに、効果的なポジションとアングルをご紹介します。
【人物撮影】
- 可愛らしさを強調したい時:
- ハイポジション + ハイアングル: 上から見下ろす視点で、被写体を小さく、可愛らしく見せます。子どもの撮影に最適です。
- スタイルを良く見せたい時:
- ローポジション + ローアングル: 下から見上げるように撮ることで、脚が長く、スタイルが良く見える効果があります。ファッションポートレートでよく使われるテクニックです。
- 自然な表情を撮りたい時:
- アイレベルポジション + アイアングル: 被写体と同じ目線で撮ることで、最も自然で安定したポートレートになります。
【風景撮影】
- 広大さを表現したい時:
- ハイポジション + ハイアングル: 展望台や高い場所から、広大な景色を俯瞰で捉えます。
- ローポジション + ローアングル: 地面すれすれから空を見上げるように撮ることで、空の広がりと奥行きを強調できます。
- 奥行きを強調したい時:
- ローポジション + ローアングル: 道路や線路、川などを手前から奥へ続くように撮ることで、遠近感が強調されます。
【料理・物撮り】
- 料理全体を美しく見せたい時:
- ハイポジション + ハイアングル(真俯瞰): 料理の配置や彩りをそのまま伝えることができます。インスタグラムなどのSNSでも人気の構図です。
- 立体感と臨場感を出す時:
- アイレベルポジション + アイアングル: 食べ物と同じ目線で撮ることで、実際にその場にいるような臨場感を演出できます。
6. 撮影のワンポイントアドバイス
- まずは「しゃがむ」を試す: 普段、私たちは立ったままの目線で写真を撮りがちです。まずは、被写体に合わせて「しゃがんで」みましょう。これだけで、写真に大きな変化が生まれます。
- 様々なアングルを試す: 同じ場所でも、様々なアングルから何枚も撮ってみましょう。ベストな一枚を見つけるための練習になります。
- 三脚を活用する: 特にローポジションやハイポジションでの撮影は、手ブレしやすいため三脚を活用すると安定した写真が撮れます。
まとめ
カメラのポジションとアングルは、写真の印象を決定づける重要な要素です。
- ポジション(カメラの高さ)は、被写体との相対的な位置を決めます。
- ハイポジション: 広がり、可愛らしさ、俯瞰
- アイレベル: 自然、安定感、共感
- ローポジション: 迫力、威厳、非日常感
- アングル(カメラの向き)は、被写体に対する角度を決めます。
- ハイアングル: 俯瞰、小ささ
- アイアングル: 自然、安定感
- ローアングル: 威圧感、高さを強調
いかがでしたでしょうか。
これらの基礎を理解し、被写体や仕上げたい印象に合わせて使い分けることで、表現はグッと変わる可能性があります。意識をして様々なポジションとアングルを使いこなしてみましょう。